雨の日に傘をさすと、傘がぬれる。 駅や車内で、ぬれた傘が衣服や持ちものに触れると具合がわるい。まわりに迷惑をかけてはもっと具合がわるい。
そんなとき、傘を入れるポリ袋があるとよい。 スーパーやショッピングの入り口では雨の日にそういう袋をもらう。 使ったあとは持ち帰って、よく乾かして、かばんに入れておけば、いつでもまた使える。
さて乾かすにはどうしよう。 さかさに吊るして干せばよい‥図1。 けれども使用後の袋は、内側がぬれている。 ぬれた面どうしがくっついて、袋はぺたんこに平らになっている。 そのままでは乾きにくい。 だから干すときは、袋をひろげて筒状にしておきたい。
ひろげて干す、といえば簡単そうだが、やってみると案外むずかしい。 なので工夫がほしくなる。 たとえば以下のように。
まずは、袋に息をふう〜っと吹きこんで膨らます。 そして図1の体勢にしようと、端をつまんで移動すると、とたんに袋はぺたんこ平らに戻ってしまう。 なぜか。 理由は図2のようなことらしい。 膨らんだ袋の中には空気aがある。 端をつまんでbのほうへ動かすと、空気aは慣性のため動きにくいから、cのようにとり残される。 袋の中は空気が減るので、薄い袋は、まわりの空気に押されて、あえなくつぶれてしまう。
ではどうすれば、つぶれないか。 袋から空気がぬけなければよい。 ふう〜っと膨らましたら、吹きこみ口の端を閉じる‥図3のa。 内側はぬれているから、貼りあわせるとくっついて閉じる。 ついでにちょっと手を貸して、反対側の端bの角を、みみずくの耳のような形に折って整える。
これで袋を、図4のように干す体勢にもっていくことができる。 耳があると吊るすのにちょうどよい。 貼りあわせてあった下端は、ひらいて円筒状に整える。 上端をみみずく形にしておいたおかげで、袋は上から下まで、だいたい均一に円筒状になった。 円筒になれば、形を保つ強さが少しはそなわる。 たぶん乾くまでのあいだ、形を保つだろう。
けれども干した時点で、袋のどこかが少しへこんでいて、いまひとつ、ということもあろう。 そういうときは修正する方法がある。
耳のところを手で持って、袋を鉛直に保つ。 それから手をはなして、40〜50センチほど自由落下させる‥図5。 袋は鉛直のまま降下して、下端がすとんと床にあたる。 あたった瞬間、つぎのことが起きる。 下端は少しだけ、くしゃっとしわが寄って、そのぶん袋の容積を減らす。 袋の中の空気は閉じこめられて、圧力が上がって、袋のへこんだところを押しひろげる。
もしうまくいくと、あたった瞬間、ぽんと弾む音がして、跳ねかえる。 そしてきれいな円筒ができる。 下端にしわが寄るのは、まあ許せる範囲だろう。 床にあたるときに空気が漏れないように、下端の切り口は一直線で、床は平板状がよい。
あとは、耳をつまんでゆるゆると持ちあげて、図4の体勢にもっていく。 下端は開いているが、それでも袋はつぶれない。 袋の形がきれいに円筒だからであろう。 持ちあげていく速さが、もしも一定でなく増減があると、増のときに袋がへこもうとする。 まるで息をしているかのようだ。
修正がうまくいくかは微妙なところがある。 袋がごわごわ固めで、折れ目が顕著についていたり、内側に水滴が多量に付いていると、むずかしいかもしれない。 そういうときは、図3からやりなおせばよい。
雨の日に役立つポリ袋。 そして袋も資源、干して乾かして再活用を!

図1


図2


図3


図4


図5


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