ディズニーシーに、地底探検(センターオブジアース)という乗りものがある。
自走式のカートに乗って、いろいろな場所をめぐるうちに、突然スピードがでて一気に高低差を走りぬける。
そのとき、体の中がぞわ〜っとなる独特の感覚が数秒のあいだ(たぶん3〜4秒)つづく。
そのあいだ、体にかかる見かけの重力加速度が減っているわけだが、実際どんな具合で減るのだろう。
減るといっても、ゼロGまで減ることはなさそうだ。
カートに乗ると、持ち物を目の前の網袋にしまうけれど、走行中それが浮き上がる様子はない。
ここでは仮りに、重力加速度は 0.2G くらいまで減るものとして、0.8G ぶんを減らすカートの動きはどんなものか考えてみよう。
図1では、重力の加速度が 0.8G であるような仮想世界を考える。
カートはA点で初速度 V を与えられて飛び出し、放物線の弾道を描きながら、頂点BをとおってCへ行く。
このとき、時刻ごとにカートの位置と速度はどうなるか、弾道パターンを計算しておく。
次に、弾道ABCと同じ形をしたコースを、現実世界のなかに設ける。
そのコースをカートは走るのだが、そのさい、計算しておいた弾道パターンのとおりに走る
(それにはもちろんカートの駆動力をうまく加減する。)
そうすれば、カートの動きは下向きに 0.8G の加速度をもつから、乗員にかかる見かけの重力加速度は 1G − 0.8G = 0.2G となる。
弾道ABCの一例を考えよう。
図2では簡単に、水平ACからの高さを h、またABとBCの水平距離はともに h と置く。
そしてAから4秒でCに着くとする。
BからCへの動きを考えると、カートがCに着くときの下向き速度は
v = 0.8G × 2s = 15.7m/s
に等しい。高さは
h = 1/2 × 0.8G × (2秒)2 = 15.7m
になる。カートは一定の水平速度
u = h / (2秒) = 7.9m/s
をもつから、Cでの合成速度は
w = 17.6m/s = 63km/h
となる。
さて弾道コースの始点は、放物線上のどこに選んでもよい。
もし図2で、コースは頂点Bから始まってCを越えていくとするなら、4秒のあいだにカートは 62m もの高度差を下る。
高低の幅はなるべく小さく収めたいとすれば、やはりコースはABCのように設けるのがよい。
実際上のコースは、たとえば図3の点線のように設けられよう(実線が放物線。)
設けかた次第では、下りきったカートの速度は上記 w より大きいかもしれない。
カートの動きは、およそこんな具合だろうか。
正しくはストップウオッチと加速度センサーで‥ といっても、ぞわ〜が来たらそんな余裕はなさそうだ。
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