たとえばインスタントみそ汁を作るときの話。
小さい袋に、生のみそが封入されている。
みそをとり出そうと、袋を破って開く。
このとき、ちょっと気になることが‥。
袋には切り口があるので(図1)、まずaを破ってから、端bまで破っていく。
そして最後に、端bを破った瞬間、パチンと小さい音がして、みそのしずくが飛ぶ。
飛ばないこともあるけれど、飛んだらどこに付くかわからない。
対して、なにか手だてはあるだろうか。
今更ながら、破る、破れるとはどういうこと?
‥紙を用意して、図2のように切り口をつけて、aとbをつまんで破る。
たとえばaを紙面から手前へ引き、bを奥へ引くと、弱い力でも破れだす。
いったん破れだすと、もっと破り続けるのはたやすい。
破れは点線にそってビリビリと進んでいって、端cに達して終わる。
端で終わるときにも特別なことは起きない。
同じ紙を、こんどは帯状にして、両端に力を加えて引っ張る‥図3。
力をだんだん強くすると、あるところで帯がパチンと一気に切れる。
切るのに要する力は帯の幅によるだろうが、ほどほどの幅なら、図2で加えた力よりもずいぶん強い力を要する。
図2で破れるときと、図3で切れるときとでは、様子がちがう。
さて、みその袋は、一枚の膜を二つ折りにして、斜線部分(図1)をくっつけて出来ている。
袋を破るときは当然、膜を二枚かさねたものを破る。
それを展開図にして考えると(図4)、破れの線は左右の両端から始まり、中央の折り目にむかって進む。
ふたつの破れ線が折り目まで来たときに、線と線が出合ってひとつにつながるとは限らない。
むしろ、くいちがいが少しは生じるだろう。
すると、いま、袋の端を最後に破ろうとしている場面は、たとえば図5のように見える。
引っ張る力によって、中央のところを破ろうとしていて、これは図3の場面に似ている。
なので破れるときはパチンとなって、はずみでしずくが飛ぶ。
では、パチンとならないためには?
‥図6のように、まえもってaからbまでハサミで切り込みを入れておく。
そして切り口cから、切り込み線abにむかって破る。
すると破り終わりは、図2のcでの終わり方と同じになる。
これならパチンといわないから、しずくは飛ばない。
別のやり方は、図7においてaのほうへ破る。
これなら切り込みは必要ない。
ただし、みその出口が狭くなってしまう。
出口の幅を最大にしたければ、切り込みをbのように入れる。
そして破れ線がbにつながるように、よく狙って破る。
これは手加減がむずかしいかもしれない。
結局は、図6において、切り込みabをなるべく端の近くにするのがよさそうだ。
みそのほかにもマヨネーズとか、粘り気あるものを入れた袋にも、この手は使えるだろう。
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