部屋の中をすこし暗めにして、隅には小さい光源‥たとえば裸電球‥を置く。
そして反対側の隅に座って、静かに光源のほうを見つめる。
何だか怪しげだが、ここでは、ちょっとした光の現象を見ようとしている。
ただ、それが見えるかどうかは人によって分かれるらしい。
まずは、見えるほうのケースから‥。
光源を見つめながら、上まぶたをゆっくり下げていく。
目はだんだんと半閉じの状態になる。
(まばたき動作をゆっくりおこなう、と言いかえてもよい。)
すると、図1のAのように見えていた光源から、Bのように、光のすじが下のほうへす〜っと伸びるのが見える。
まるで光源から光のしっぽが生えたようだ。
上まぶたを持ちあげて、目を開けた状態にもどすと、しっぽは消えてなくなる。
光源は裸電球にかぎらない。
幅の広い光源からは幅の広いしっぽが生える。
よく観察すれば、どんな光源からも、それなりのしっぽが生えることに気付く。
しっぽは、どこから生じるのだろうか。
図2のように、光源が目にうつっているとしよう。
目のレンズは、表面が涙で潤されている。
涙は、上まぶたの端も潤す。
すると涙は、まぶたの端からレンズ表面にまたがるAのところに、ごく小さいプリズムをつくるであろう。
プリズムが空気に接する面は、凹面状に湾曲しているであろう。
さて光源からきた光は、Bに集まる。
ところが光のなかでCという小部分については、本来はBへ行くはずのところ、プリズムの働きで曲がってDのように広がる。
結果として、光源Bから、しっぽEが生えたように見える。
プリズム説は本当だろうか。
ためしに、まつげの先をつまんで前方に引いて、まぶたの端をレンズ面から離してみるとよい。
プリズムが無くなれば、しっぽも消えるはずだが、実際そうなることが確かめられよう。
では、しっぽなんか見えない、というケースはどうなのだろう。
もしもまぶたの端が、たとえば図3のような形状なら、光源からの光はプリズムAにさし込まない。
よって、しっぽは生えない。
まぶたの端の形状しだいで、しっぽが見えるか否かが分かれるのではないか。
見えないという人は、上まぶたを下げる動作にあわせて、指で眉を上のほうにずりあげてみてはどうだろう。
そうすれば、プリズムに光がさし込んで、しっぽが見えてくることが、もしかしたらあるかもしれない。
ふたつのケースは、実態としてどうなのだろう。
確かめたくても、なかなか話がつうじないことがあって、もどかしい。
元々どうでもよい話だから無理もないが‥。
光のしっぽは、見える人には見える、ということに尽きるのかもしれない。
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