体が硬い人でもきっとできる、というストレッチを試みると、補助用具としてタオルを使う場合がある‥図1。 タオルをループ状にして、a部を足の先に掛け、端bを手に持ってぎゅーっと引きよせる。 単純な補助用具でも、効果があがるようだ。
そのタオルを引きよせるさいに、端を別々にして、右手でb を、左手でb を引くのなら難しいことはない。 ところが場合によっては、b とb をひとつに束ねて、それを片手でにぎって引かなければならない。 これが思いのほか大変で、しっかりにぎらないとタオルがずるずると逃げていく。 なのでしっかりにぎっていると、手が疲れてくるし、おまけに手のひらがこすれて痛い。 なにか工夫はないものだろうか。
では、こうしよう。タオルをループにするために、端と端を図2のように重ねる。 重ねる長さ*は、手のひらの幅よりも大きくしておく。 次に*部を、どちらか片方のサイドからつまみ上げて、くるくるっと巻く。 太巻きを作るような感じで、巻きおわると図3のようになる。 巻いたところの断面は図4のようで、二重巻きになっている。 そして二重巻きのところを手で軽くにぎれば、ループのできあがり。 にぎった所が、図1でのbだと思えばよい。
さてここで、にぎるのに力をこめる必要は全然ない。 手先をフックのように構えて、そこへ二重巻き部を引っ掛けた、という感じでよい。 そして強めに引いても、ループがほどけることはない。
フックのように手先を構えた状況を、図5のように模擬してみよう。 ここでは重い石をもちあげてフックに引っ掛けたとする。 このとき、二重巻き部がフックをまたぐように掛けてあれば、石が重くてもループはほどけない。
ループがほどけずに持ちこたえるのはなぜか。 図5で、aからフックをまたいでbに至るタオルの断面をとれば、図6のようになる。 引く力をaとbに加えると、それはタオルの面どうしを圧着するように働く。 その結果、摩擦が生じて、ループがほどけるのを防ぐ。 くるくる巻いてあることによって、多数の面と面どうしが圧着されるから、生じる摩擦の力は合計されて強く現れる。 そして引く力a、bを強くすれば、ともなって摩擦の力も強くなるので、ループは持ちこたえてほどけない。
図6では、外側のcのあたりがゆるんでいそうで気になる。 だがこれは断面図であって、実際には巻いてあるから、まったくゆるい訳ではない。 もし気になるなら、図4で*と記した巻き終わりの箇所が、図6ではループの内側にあってフック部材に押しつけられている、と思えばすっきりしよう。 実際にストレッチをするにおいては、巻き終わり(図4の*)がどの向きにあっても、ループは問題なく持ちこたえる。
もしタオルが長いなら、図7のようにループをつくる。 二重巻きにする長さ*は、手のひら幅よりすこし大であればよい。 なので余ったところはそのまま余らせておけばよい。
こうして、「二重巻き連結部を手先フックに引っ掛ける」という要領でもって、ループタオルを使うストレッチが楽にできるようになった。

図1


図2


図3


図4


図5


図6


図7

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