(本文抜粋)

 黒っぽいスカートのスリットからむき出しの白い脚。その妖艶な踊りに翻弄され、恐らくぼくの目は血走っていたと思う。ズボンの前も興奮の度合いをありありと示していたに違いない。そんな状態になったとき、リエさんが「ちょっと疲れたわ」とソファーの背をお転婆にまたいで、ほぼ正方形の広々とした後ろのベッドに移った。
「ね、こっちで横になって話さない?」
 あお向けに横になったのはいいのだが、両ひざを折って立てたものだから、軽いポリエステル入りのウールスカートがするっと落ちてしまった。見るからにおいしそうな太ももの全部が、ぼくの目の中に飛び込んできた。
 太ももというより、もうお尻といったほうがふさわしいところの横に、さっきカフェテリアで握った手がしどけなく投げ出されている。そしてまるで透明のゴムチューブをしごいているように、やわやわと指が動いている。
 早く私の隣に来て。
 リエさんは何も言わなかったが、はっきりぼくの頭の中で聞こえた。

 ああ、その指で、その手で、このぼくの興奮を包んでほしい。
 ふらりと立ち上がって、ベッドに近づく。そうしながらベルトを外していた。

戻る