(年明けより抜粋)
「無理もない。長いことしてあげてないからなあ。祥子はひとりですることはないのかい?」
「ひとりで…そんなことしませんわ! 男の人と違って一年だって十年だってしないでもいいようにできているんです」
「そうか。だったらこれからは同じ部屋で寝起きするかね」
「ええ、そうしましょ、そうしましょ」
「うんうん。そんなに腕を抱えられちゃ歩けないよ。それはそうと、ここじゃあ這うこともできなければ、ベンチもないしなあ」
「立って…立ったままではできません?」
「おほ? ずいぶん積極的だね。そう照れるな。いいよいいよ。じゃあひとつ試してみるか? せっかくノーパンになってくれていることだし」
「やあねえ、そのために脱いだわけじゃないのに。くすくす」
「あそこのケヤキはどうだろう。足場は悪いがあれを背にすれば向こうの道からも陰になって見えないと思うが。こらこら焦るなって。ズボンが落ちる」
「ふふ。あら、あのパンツだめでした?」
「だめっていうわけじゃないが、こういうほうが暖かくて…収まりもいいんだ」
「そうかも知れませんわね。お父さまのこれ大きいし」
「ハハそんなこともないが、真ん中にぴたっとこないとどうもねえ。ぶらぶらしてると歩きづらい。こらぁズボンが落ちちゃうじゃないか」
「ごめんなさい。で、あたしがこっち?」
「うーん、どっちでもいいが、背中が痛いかもしれないから私が木を背にしよう」
「はい。まあすごいわ、お父さまの。うちの大きな門松よりたくましい!」