(本文抜粋)

 腰の両脇に足を置かれただけで、竜一は震える思いだった。実際、ひざ頭からその上の太もも、さらに緩やかなUの字を描くスカートのウエーブを見つめる若鮎が下腹の上でピクピクと跳ねた。
 千鶴はひざを折って竜一の肩口のところに両手を突いた。裸の下半身がスカートで覆われ、千鶴の柔らかな体温がふわっと伝わる。お尻がゆっくり下りてくる。竜一は待ちきれず、首を伸ばしてキスを求め、お尻をかき抱き闇雲に股間に押し付けた。

「あ、ちょ、ちょっと待って!」

 いつも冷静で穏やかな竜一なだけに、逆上したような早急な振る舞いに千鶴は慌てた。
 千鶴もその気でいるとはいえ、肉体が十分な受け入れ態勢になっていない。キスもしたければしてあげてもいいと思うが、早苗が戻る前にメークを直す時間があるかどうか。

「落ち着いて。そんなに慌てないでも、してあげるから。痛いし。お願いだから」

 竜一はがっしり指を食い込ませていたお尻を渋々放したが、未練で太ももからお尻にかけて撫で回した。

「私の言う通りにして。ね? あ、脚は触ってていいわ。ええ、そう、そんな風にそっと。キスは…ごめんなさいね。その代わり…」

 一度浮かせたお尻を竜一の下腹に再び下ろして、ハーフスリーブのボタンを上から順に外した。その間、竜一は自分を挟んでいる脚を撫でさすりながら待った。産毛もないつるつるした肌に、しっとりした湿り気がある。
 千鶴が体をキッと垂直に立て、胸を大きく広げた。竜一は目を丸くした。ブルーバイオレットのレースに溢れる母性の象徴が見事だった。千鶴が軽くあごを引いてうなずいている。見るだけではなく、触ってもいいということなのだろう。それでもブラジャーに手を出してもいいものかどうか迷った。

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