2003年公開映画から〜後半〜




『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』The Lord of the Rings - The Return of the King-
 フライングでロンドンで観てきました。
 どうせ観るならプレミアが行われたLeicester SquareのThe Odeonで観ようと、前日にチケットを予約しておきました。公開から初のウィークエンドということもあり、土曜の朝だというのに、上映1時間前くらいから人がたくさん来ていてびっくり。客層は老若男女という感じでしたね。
 上映が始まると、タイトルが出ると同時に拍手がわき、ユーモアのあるせりふには笑いが起き、レゴラス活躍シーンで喝采がわくというノリの良さ。最後も会場から拍手がわき、ここで観れてよかったなあと。
 映画の中身はというと、前半すでにうるうるしてしまうシーンがてんこ盛りで、それに比べるとラストが・・・という気はしましたが、色々思い悩んだ末に、翌日2度目を観ることにしました。
 Leicester Squareはすでにフルブックだったので、ちょっと離れたKensingtonのThe Odeonで観ました。席は前か後ろしか空いていないと言われて、昨日は2Fの一番後ろだったので前を選んだら、結果大当たりで、スクリーンと座席の間に十分なスペースがあったため首が痛くなることもなく、大迫力で映画の世界に没頭することができました。
 一度目の時は、やっぱりせりふに集中して展開についていくのに精一杯、あれ、原作と違うよ〜! と思いは千々乱れ、かつ、自分の体調も良くなかったため、二度目に観た時の印象の方が良い方に振れたし、素直に世界に入り込めました。

 詳細な突っ込みはネタばれ版に書くとして、一言で表現するなら、やっぱりピーター・ジャクソン監督&関係者の皆様に感謝、ということになるかな。映像不可能と言われたこの物語の世界を目の前に展開してみせてくれたことは本当に感慨深いものがあるし、この映画三部作が与えた後世への影響力ははかり知れないものがあると思います。
 自分が「原作も映画も共にお気に入り」と言えるというのは、これほどうれしいことはないし、「トールキン世界」を愛している人々の手によるこの映像作品の中には(原作と異なる部分が多々あるとしても)、確かに原作の魅力は十分盛り込まれていると思います。

 最後に素晴らしいアラゴルンを演じてくれたヴィゴ・モーテンセンに最大級の拍手を!(BRAVO!)

 ○ネタバレ感想はこちら。



『マトリックス・レボリューションズ』THE MATRIX REVOLUTIONS
 マトリックス三部作の完結編。
 すでに期待値は下がるだけ下がっていたので、まあこんなものかなあと思いますが・・・。ストーリー展開としては、たったこれだけの内容で1本映画が作れてしまうのか、と思ったことは否めません。今思えば、第二部の方が謎解きとか、とりあえず展開らしい展開があったので。今回はひたすら戦ってますね(笑)。
 結局の所、ウォシャウスキー兄弟はヲタクによるヲタクのための映画を作りたかっただけで、「あのアニメのシーンを実写で撮りたい」という願望を実現してしまった所がすごいのであって、それ以上でもそれ以下でもなかったんだと思いますが、なまじ第一部が普通の映画として観てもおもしろかったために、勘違いが生じてしまったのだと思います。
 なんとなく物語の本当の解釈とかなんとかは、別ルートで流されるか、あるいはもうすでにマニアックな議論が盛大に繰り広げられているのかもしれませんが、まあ、その辺りもいかにもヲタク御用達なのかも。
 それにしても、もうちょっと脚本なんとかならなかったの? という所が個人的には非常にひっかかるところかな。エージェント・スミスも出番少ないし、前振りが大きかった割には、「えっ、それで終わり?」という気がしましたし。

 蛇足ですが、第二部・第三部まとめて撮影しちゃえ、という「マトリックス方式」が、「トホホな続編」の代名詞にならないことを切に願います。



『パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち』Pirates of the Caribbian 〜The Curse of the Black Pearl
 わたしてきには夏の本命を食ってしまいそうな勢いのあるこの映画。
 『アルマゲドン』『パールハーバー』のジェリー・ブラッカイマー製作、『ザ・リング』のゴア・ヴァービンスキー監督、ときくと、ちょっと自分のテイストとは違うんじゃないかと不安だったんですが、ジョニー・ディップが一匹狼の海賊を演じ、オーランド・ブルーム(『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラス役)と共演と言われれば興味津々。観終わってみると、予想外の盛り上がり様に我ながらびっくりしてしまいました。

 カリブ海の港町ポート・ロイヤル。ある夜、海賊バルボッサとその一味に襲われ、総督の娘エリザベスがさらわれてしまう。海賊達が探し求めていたドクロマークのメダルは、8年前海賊に襲われ漂流していた所を救助されたウィルからエリザベスが手に入れたものだった。鍛冶屋の弟子として立派に成長したウィルは、身分違いの想い人エリザベスを救うために、バルボッサの手がかりを知る一匹狼の海賊ジャック・スパロウに牢から逃がす代わりに助力を請う。
 呪われた海賊達からエリザベスを無事救い出すことができるのか? 呪いを解く鍵とは?

 これはずばりキャスティングの勝利ですね。ジョニー・ディップがアクの強い演技でコミカルかつ度迫力で演じるジャック・スパロウ船長によってこの映画がとんでもなく化けていると言っても過言ではないです。あれだけイカレていて、かつ、超クールって奇蹟的ですよ。加えて、宿敵バルボッサ役を演じる『シャイン』のジェフリー・ラッシュも憎々しげであり、かつ、哀れな内面を実に上手く演じています。その間に立つ若手カップルもなかなかがんばっていました。ジャックと対を成すまっすぐな好青年、ウィルを演じるオーランドも役にはまっていて、アクションシーンも良くこなし思いの他好演。エリザベス役のキーラ・ナイトレイ(『SW エピソード1』アミダラ姫の影武者の次女役)も、甘過ぎずおきゃん過ぎず自分で行動する女性をきちんと演じています。
 キャストが好演しているので、船はレプリカを使って実際に動かしていたり、舞台装備にきちんとお金がかけられている所が非常にむくわれています。映画の世界に思わずつり込まれます。呪われた海賊達の骸骨姿のシーンのVFXもなかなか壮観。

 ディズニー映画らしく全然怖くないし、滑稽無糖で甘甘な展開ですけど、テンポよく、アクションシーンあり、笑いありで飽きないですし、またキャラが立っているので適度に隙があるところがおもしろいです。語られないジャックの過去や、ウィルパパのエピソード等、物語世界が広がっていく感じ。(しかし、本当にウィルパパは死んでいたのだろうか?

 ラストのジャック・スパロウ船長の表情が垣間見せる「男のロマン」。もー、しびれますよ! 



『踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ』』
 あの『踊る大捜査線 THE MOVIE』から5年。頂点を極めた感があった前作を越えることができるのか?

 湾岸署観光案内から始まるオープニング。笑いを取るエピソードから、5年の歳月を埋める会話が繰り出され、そして事件が起こる。シリーズの主要キャラ総出演で笑いと泣かせの絶妙なバランスの下、約2時間20分、一分たりとも集中力を削ぐことなく、十二分に楽しませてくれました。世相を反映した設定がどんぴしゃなこともあって、各々なにがしか身につまされるものがあるんじゃないのかな。エンターテイメントの中に、己を振り返って何か共感できるものがある、明日への活力を得ることができる、というのは本当に貴重です。

 あれだけ強烈なキャラクター達に5年の歳月の変化を加えることはかなり難しいと思うのですが、青島くんはじめ、変わったところと変わっていないところを、わざとらしくなく上手く重ねたなあと感心しました。

 今回悪役を一手に担った感がある女性キャリアの沖田管理官ですが、本当はもうちょっと掘り下げが欲しいところですが、まあそれにはあまりに時間が足りないので、組織の弊害の象徴みたいな描き方ということで一応納得することに。観終わってからつらつら考えると裏を返せば的なところが色々見えてくるし(「命令をききなさい!」なんていっそ痛々しい)、立場としては室井さんだって同じなわけで、組織って結局「人をどう使うか」ってことなんですよね。そこに信頼関係が築かれていれば一番いいのですが、それはなかなか難しいです。(それにしても、真矢みきは高びーなキャラという演出には合ってたけど、ヅカっぽい発声やポーズがやや鼻につくかも。)

 ともあれ、前作を上回る満足度を得られることは保証します。(監督&スタッフさん、よくぞやってくれました!)
 室井さん、かっこいいーーー!!!(以下ネタバレ感想に続くので略)

 リンク200というふれこみ通り、小ネタが大量にばらまかれています。一度目より二度目、二度目より三度目、と楽しめること確実。中でもエンドロールは「やってくれるわ!」という感じですので、間違っても途中で立つことなく、目を皿のようにして持ち物、背景ともにチェック、チェック!

 今年の夏は Dance Again!!! で決まりですね。

○すみれさんがタイトルをつぶやく某映画について
○みーはーネタバレ感想



『シカゴ』CHICAGO
 出来の良いミュージカル映画。
 不倫関係の妹と夫を銃で撃ったトップダンサー、ヴェリマ・ケリー。スターに憧れるロキシー・ハートは、だまされていることが分かった不倫相手を銃で撃ち殺し、ヴェリマと同じ刑務所に入れられる。マスコミを味方につけ、裁判で不敗の記録を誇る敏腕弁護士、ビリー・フリンが弁護を引き受けたことで、ハートはキュートな殺人者というキャラクターで一躍新聞のトップに踊り出る。ハートの裁判の行方はいかに?

 元ミュージカル女優だったというセタジョーンズの歌と踊りはものすごく迫力があります。「ブリジット・ジョーンズの日記」のレニー・ゼルウィガーもよくがんばってます。弁護士役のリチャード・ギアはさすがベテラン俳優、華がありますね。歌や踊りはけっして上手くはないけれど、演技シーンには思わずスクリーンに視線がくぎ付け。後半の裁判のシーンは圧巻です。
 前半は女囚人達の迫力のアンサンブルといい、女看守役のクィーン・ラティファの圧倒されるソロといいミュージカル映画の醍醐観が味わえます。途中、舞台ならスムーズに入るのでしょうが、映画だと取ってつけたようなアナスタシアの「おやすみの唄」やハートの夫の唄なんかはいまいちだったり、若干気が抜けるところがありますが、ラストのペアダンスはとにもかくにも気分爽快。エンターテイメントはこうでなくっちゃ!

 音と映像両方そろってはじめて迫力がでる映画なので、音響の良い映画館で観るべし。

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