実体視練習図形
左の画面には三角形がふたつ並んでいます。これを使って実体視を練習しましょう。
1)鉛筆を手に持って、尖った先を上に向け、画面に添えるように置きます(図A)。 鉛筆の先は、三角形の下向き頂点どうしの中間に置き、鉛筆は画面に平行になるように持つとよいでしょう。 鉛筆の先を注視すると、視野にはもちろん三角形が二つと鉛筆が並びます(図B)。
図A 図B
2)鉛筆の先を注視したまま、鉛筆の位置を、画面から顔のほうへ近寄せていきます(図C)。 近寄せる動きは十分ゆっくりにして、目のピントが鉛筆の先から外れないようにします。 要は寄り目の練習です。寄り目になるにつれて、両目をあわせた視野には三角形が四つ現れます(図D) ‥一部が重なりあっていますね。 ピントは鉛筆に合わせるので、三角形は少しぼやけるかもしれません。 四つ現れている三角形を、内側に寄った二つと、外側の二つに分けて考えましょう。
図C 図D
3)鉛筆の位置をだんだん顔のほうへ近寄せていくと、あるところで、 内側のふたつの三角形が重なりあって、ひとつになります(図E)。 つまり視野内には三つの三角形が見えています。 このとき、左右の視線は図Fのように、それぞれが三角形の下向き頂点を指しています。
図E 図F
4)鉛筆の位置を顔のほうへ近寄せすぎると、三角形はふたたび四つになります。 鉛筆の位置を調整して、視野内の三角形がきっちり三つになるような正しい位置を見つけだします。 ここでもピントは鉛筆から外さないように注意しましょう。 もしピントが外れて、「三角形が三つ」の状態もくずれたときは、図Aからやりなおします。 正しい位置が見つかったなら、図Eのように、鉛筆の先と三角形の下向き頂点とが一点において向きあうようにします。
5)ここまでずっと、鉛筆の先を注視してきました。 さてここで注視の対象を、鉛筆と向き合っている三角形の頂点に移します(つまり三角形のほうにピントを合わせる)。 あわてて移すと「三角形が三つ」の状態がくずれるので、そうならないように、 ゆっくり注意ぶかく、注視を鉛筆から三角形に移します。 ここが肝心なところで、練習を要しますが個人差があるかもしれません。 注視を移すのにあわせて、鉛筆を下のほうへ移動して視野の外へ出します。 すると注視対象は三角形だけになるので、ピントを合わせた状態で見続けることができるでしょう。 その状態で見続けることが、実体視にほかなりません。
6)こうして見ている三角形は、下向き頂点が手前のほうへせり出しているでしょう。 図形は画面上にあるのに、見えている三角形は画面から傾いています。 実体視によって、図形の見え方が立体的になりました。
7)上記の実体視では、中央の三角形のほかに、右と左にも三角形が見えるので、 煩わしくて立体感を妨げるかもしれません。 それを避けるには、図Gのように遮へい板を置くとよいでしょう。 遮へい板はハガキ状の紙でもよいし、手のひらでもよい。 要は、左の三角形が左目に入らないように、そして右の三角形が右目に入らないようにすればよい。 遮へい板を置く位置をうごかして調整すると、適切な置き位置がただちにわかります。
図G
遮へい板のあいだに見える三角形は、くっきりと空間のなかに浮かんで、傾いているでしょう。 実体視にともなう立体感はとても印象的で、いちど味わうと虜になります。
8)以上の練習に慣れると、鉛筆がおおよそ正しい位置にきた段階で、 内側のふたつの三角形は互いに引き寄せあうようにしてひとつに重なり、 あわせてピントも合うようになります。 そうなればあと一歩で、鉛筆の助けがなくても、 ちょっと寄り目にするという要領で実体視を開始できるようになります。
9)練習を含めて実体視をあまり長時間おこなうと、気分がわるくなる場合があるので気をつけましょう。