画像中央より下に、谷川岳の峰が二つ、上のほうには一ノ倉岳があります。
そして山をつなぐ稜線の、右側(=東側)の斜面だけが、ひどく崩れています。
谷川岳にきわ立つ特徴ですが、なぜ西側と東側では斜面がこんなに違うのでしょう。
西側と東側は、元々は似たような斜面でした。
そこへ西のほうから日本海の湿った風が来て、雪をたくさん降らせます。
雪は風に吹き飛ばされて、西側斜面には積もらない。
もっぱら稜線を越えた東側斜面に雪が落ちます。
雪は斜面をすべり落ちて中〜下部に溜まりますが、過去の氷期においては、それがとけずに氷河になりました。
氷河は、ずり動いて斜面を削る。
すると東側斜面は、中〜下部つまり足元に近いところを削り取られた形になって、安定を失い、崩れます。
そういう氷河の作用が続くにつれて、斜面は傾斜を増していきました。
氷期が去った今も、斜面を落ちる雪崩が少しづつ東側斜面を削っています。
しかし斜面の大きな形状は、過去の氷河作用によってつくられました。
[以上、
小疇 尚:越後山地の氷河作用に関する研究(2002) による。]
画像は上下3km。