画像中央より下に、谷川岳の峰が二つ、上のほうには一ノ倉岳があります。 そして山をつなぐ稜線の、右側(=東側)の斜面だけが、ひどく崩れています。 谷川岳にきわ立つ特徴ですが、なぜ西側と東側では斜面がこんなに違うのでしょう。
西側と東側は、元々は似たような斜面でした。 そこへ西のほうから日本海の湿った風が来て、雪をたくさん降らせます。 雪は風に吹き飛ばされて、西側斜面には積もらない。 もっぱら稜線を越えた東側斜面に雪が落ちます。 雪は斜面をすべり落ちて中〜下部に溜まりますが、過去の氷期においては、それがとけずに氷河になりました。 氷河は、ずり動いて斜面を削る。 すると東側斜面は、中〜下部つまり足元に近いところを削り取られた形になって、安定を失い、崩れます。 そういう氷河の作用が続くにつれて、斜面は傾斜を増していきました。 氷期が去った今も、斜面を落ちる雪崩が少しづつ東側斜面を削っています。 しかし斜面の大きな形状は、過去の氷河作用によってつくられました。 [以上、 小疇 尚:越後山地の氷河作用に関する研究(2002) による。] 画像は上下3km。
写真番号:CCB768-C8-38/CCB768-C8-37
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