南紀低山巡り
要害山・白鷺山・目覚山・尾畑山・狼煙山
フェリーターミナルと目覚山
【行程】 5/26(土)晴れ[池袋21:35=(三重交通バス)=]
5/27(日)晴れ[=熊野市7:01/7:20−N7:31−要害山7:35/7:45−N7:47−W8:02−白鷺山8:05−W8:07−熊野市8:12/8:25=(JR)=新宮8:55/9:25=(JR)=宇久井9:36−SW10:09−目覚山10:15/10:25−SW10:30/10:45=(車)=宇久井10:50/10:59=(熊野交通バス)=勝浦11:13/11:33−N11:55−尾畑山12:11/12:38−N12:50−勝浦港13:25/13:30=(連絡船)=ホテル浦島13:35==山頂公園13:50−狼煙山14:05−狼煙の湯14:40/16:00==ホテル16:15=(連絡船)=16:20−勝浦16:30/17:12=(ワイドビュー南紀8)=名古屋20:42/22:54=(のぞみ156)=新横浜22:17]
【メンバー】 隊長、Iさん、Sさん
【要害山】ようがいさん (57m) 2万5千分1地形図(木本)
○それは突然のメールから始まりました・・・「低山巡りについて話を伺いたい」それからトントン拍子に話が進み今回の現地取材となりました。主たる目標は5年前にフェンスに阻まれて敗退した目覚山のリベンジです。ところが企画していくうちに“遠路はるばるの訪問ですから”と周辺の5山を巡る欲張りプランとなりました。
○池袋から熊野市まで夜行バスで10時間の道程は半端じゃありません。バスから降りたら固まった身体を伸ばしましょう。人も疎らな早朝の熊野市駅前には土色の絶壁が立ちはだかります『名前のとおり要害だわ』こちら側からは登れそうにありませんので裏に回りましょう、細い路地の奥に急な階段がありました。山頂付近では何か工事中らしく立入禁止ではないかと不安に慄きながら階段を登ると・・・バリケードには『本日は工事がありませんから通行可』ですって、胸を撫で下ろして突撃じゃ〜
○山頂広場は展望が良く眼下には海が眺められ熊野灘からの潮風を肺一杯に吸い込みます。昔あったお寺は撤去され公園にでも整備されるのでしょう。山頂の東端には真新しい三角点まであり幸先の良い低山徘徊のスタートとなりました。7時半とは思えないような暖かい南国の気候に機材満載の登山隊は早くも汗まみれです。
【白鷺山】しらさぎやま (30m) 2万5千分1地形図(木本)
○道路を挟んで南側に気になる小高い丘があります。電車の時間まで少々ありますので寄ってみましょう。山頂付近は白鷺の営巣地らしく朝からギャーギャーと騒がしい山です。東側の神社から道があるのではとの読みは外れましたが、回り込むと西側に路が見つかりました。
○一段上がったところまで雑草に踏跡が続きますが、その先はありません。樹林に覆われた山頂へは木に掴りながら強引に身体を引き上げます。頂は鷺の糞で辺り一面真白と不気味です、割れた卵も落ちていました。上を見上げれば鳥の巣が方々に掛かっています。突然の闖入者に鷺が大騒ぎですので草々に退散いたしましょう。名も無い山ですが隊長は勝手に白鷺山と命名します。まずは朝飯前の軽い足慣らしでした。
【目覚山】めざめやま (47.6m) 2万5千分1地形図(南紀勝浦)
○5年前のリベンジに燃える隊長は何とかフェンスを越える算段を考えます。始めはフェリーで訪問と思ったのですが、2年前に運休となっていて万事休す!さればと那智勝浦町にメールで問い合わせるという粘着質でした。日曜日にもかかわらずゲートの鍵を開けてくれるとの朗報に接し勇躍出撃いたします。
○宇久井から1.5Kmフェリーターミナルまで歩きます。温暖な気候ゆえハイビスカス、朝顔や良い匂いの花々が満開です。中島を過ぎカーブを曲がると前方に目覚山が全容を現します。前回は真っ暗な中フェリーターミナルで灯りの後ろに黒い影でしか認識できませんでした。今日は役場の人にゲートを開けてもらい堂々と進入いたします。
○どうやら赤い鳥居のところが登山口のようです。始めは急な階段が続きますが次第に傾斜は緩くなります。山は亜熱帯の原始林に覆われ昼なお暗い路です。樹林に囲まれた山頂には小さなお堂がありました。期待していた大展望こそありませんでしたが、木々の間から望まれるコバルトブルーの海原に黒潮の力強い流れを感じました。
【尾畑山】おばたけやま (80m) 2万5千分1地形図(南紀勝浦)
○「もう少し登る山を増やせませんか」との要望に、急遽追加したのが勝浦港の南に位置する尾畑山です。地形図では山の麓には建物がありますからそこまでの道はありそうです。ネットの地図では唯一グーグルに近くまでの道が認められました。でもその先は藪の可能性が大です。
○勝浦港から南に向かい小さなトンネルを2つ潜ると小さな漁港でその先から道は寂れます。草が生い茂る道を行くと廃船が何艘か放棄してある浜にでました。山裾に並んだ建物の裏手に目指す山道が隠れていました。
○良く踏まれた道は張り出した尾根筋を巻きながら高度を上げてゆきます。右手の稜線が近づいたら道から離れて山頂を目指します。ここからは薄い踏跡はあるものの藪を分けての山登りとなります。幸い下草が薄かったので藪漕ぎとしては軽度でしたが、素人さんにはちときつかったかも知れません。こちらの山頂も展望はありませんが、西からの涼風が汗まみれの身体には心地良く大休止です。
○蟻が多いのが珠に傷ですがお弁当を広げて寛ぎましょう。ここで藪山の登り方など講義しながら下りの難しさを説明します。ところが下り始めると途中で東に寄り過ぎているような気がして若干の方向転換。でも方向に確信は持てませんので『間違えたら恥ずかしいなぁ』・・・無事に分岐に出てほっといたしました(もちろん隊長の心の揺らぎは同行者には内緒です)
【狼煙山】のろしやま (84.3m) 2万5千分1地形図(南紀勝浦)
○勝浦港を抱くように北から張り出した半島に狼煙山はあります。この山から温泉が涌いているので大きなホテルが麓と山頂に建っています。港から連絡船に乗って5分でホテル浦島に到着です。フロントで山頂までのルートを聞くと館内地図を渡され「エスカレーターで行ってください」「歩いて登る道は無いのですか?」「ございません」(きっぱりと) スペースウォーカー(全長154m 高低77m 傾斜角30度)
○こうして前代未聞のエスカレーターによる低山登りが始まりました。長〜い3基のエスカレーターに乗ってらくちん登山です(情けなぁ〜)山頂は狼煙山公園となっており遊歩道の突き当たりは断崖絶壁上の展望台です。先ほど登った尾畑山が湾を挟んで向こうに望まれ感慨を新たにいたします。下を覗けば岩に波が砕け、高所恐怖症の隊長はお尻がむずむずしてきました。
○三角点は休憩所の脇に新しいものがありました。しきりに「山頂は何処か?」と聞く同行者に「ここが山頂です」と親切な隊長でした。列車まで時間があるので山頂の露天温泉に入ってみましょう「おおっ、源泉100%掛け流しじゃありませんか!」低山で本物の温泉に入れるとは、とても他では味わえない贅沢でした。
○勝浦からは名古屋まで特急で3時間半もかかり家に帰り着いたのは23時になってしまいました(本当に遠かった)今回は取材なので普段より時間を掛けて登りましたが、被写体になるという慣れぬ経験に緊張し心底草臥れました。何はともあれ無事に全行程を完遂できて満足です(目覚山のリベンジも成ったし)